ノーム (妖精)

ノーム。キノコの柄の脇にいる

ノーム: gnome)またはグノーム[1]: Gnom)は、スイスの錬金術師パラケルスス(1566年)が提唱した四大精霊のうち、大地を司る精霊妖精elementals)である(右図参照)。主に地中で生活しており、鉱脈の場所などにも詳しいとされる[2]

近世ドイツの鉱夫のあいだで信じられていた「山のこびと」(ドイツ語: Bergmännlein, Bergmännchen)に発するとされるが、ゲオルク・アグリコラは、これについてラテン語で「金属魔(デーモン)」(dæmon metallicus)と言換え(1530年)、または直訳語(virunculus montanos)(1549年)を用いて説明した。そこに記述される鉱夫伝説によれば、「山のこびと」は、人の物まねを意味なくおこない、笑い声をあげ、小石を投じるなどの悪戯をするが、ときおり莫大な埋蔵量の銀の鉱脈を残していくともされる。

パラケルススのドイツ語版(1567年)も、この「山のこびと」[注 1]を、「グノーム」の言い回しに使っている。

パラケルススによれば身長2スパン(18インチ (46 cm))だが、アグリコラによれば「山のこびと」は、3スパン(27インチ (69 cm))あった。

アグリコラが示した「山のこびと」の異称に、コバロスラテン語: Cobalos)すなわちコベルドイツ語: Kobel)がある。元素コバルトの命名は、16世紀のドイツ鉱夫のあいだで "kobelt"と呼ばれていた厄介な鉱石(コバルト亜鉛鉱、輝コバルト鉱等、諸説あり)に由来するが、一説ではこれが鉱山の精であるコベルに由来する( § コバルト語源参照)。端的に似た名の家精コボルトが語源とする資料も見えるが、それは両者の精霊の混同・同一視を許した場合にかぎる。

語釈

「ノーム」(gnome, [nm][3])は英語読み。

遡源はパラケルススのラテン語の著作で、そこに「グノームス、グノーモス」(gnomus, gnomos[4];複数形「グノーミ」 gnomi[6])とみえる[注 2]

語源については、必ずしもパルケルススの造語でない可能性もあるとする。文脈からは、この語が"地に棲むもの"の意で使われているらしく、さすれば元はラテン語 *gēnomus のような語であり、さらなる元はギリシア語 *γηνόμος であろうと憶測される。そして("gēnomus"でなく"gnomus"と)誤謬したものだろう[注 3]、と仮説されている[3][8]。しかし、パルケルススがこの語を借用できたような情報源(出典)はまるで見つかっておらず、実際のところは本人からの書簡でもなければわからない、とも意見される[7]

トールキン作の小説の和訳では「土鬼」が充てられる。

パラケルスス

パラケルスス『妖精の書』[注 4](1566年)において、「グノーム」(複数形:Gnomi)は、「ピグミー」(複数形:Pygmaei)の同義語として扱われる[3][9][1]。すなわち、いずれの呼称も四元素のひとつ、地/土の精霊をさす[11][9][10]

身長 2 スパン[注 5]しかない小柄だとされる[12][13]。また、壁や岩山を突き抜けたりでき、彼らにとってまるで空をよぎるに等しく、その様はまるで「精霊」のようだとしている[14]。だが元素の精霊たちはノームを含め、飲み食いもし、(人間と)喋ることもできる;その点において精霊とは一線を画しているとパラケルススは強調している[16][注 6][注 7]

また、パラケルススによれば、いわゆるドワーフ(ドイツ語形:ツヴェルク、ツヴェルクライン)というのは、地の精霊グノームの奇形にすぎないのだという。[24]

パラケルスス(ドイツ版)は、グノームを指す同義語として「山の人々」(Bergleute; 英訳:"mountain people" )や、「山のこびと」(Bergmännlein; 英訳:"moutain mannikins" )などの言い回しをふんだんに使っている[25][26]

前身:山のこびと

近世ドイツ語圏鉱夫の間では、「山のこびと」(Bergmännlein、異形: Bergmännlin,[27] Bergmänngen[28][注 8])と呼ばれる、なにか得体のしれないものが鉱山にはびこっているという伝説・巷説がささやかれていた。これはのちにパラケルススが「グノーム」と命名したそれに同定できる[31]

ゲオルク・アグリコラはこの題材についての専門書『地下の生体について De animatibus subterraneis』(初版1549年)を著し[注 9]、鉱山監督として知悉した情報を詰め込んだ[31]。アグリコラのこの著書は、「山霊Berggeist)」の本であるとグリム兄弟『ドイツ伝説』では紹介している[32]

アグリコラは、同書ではラテン語に徹して鉱山の精「virunculus montanos」と呼んでいるが、直訳すると「山のこびと」になる[33][注 10]

しかしアグリコラの古い版本にもドイツ語名は記される。ある版本(1546年の作品集)では、巻末注としてドイツ語での語釈が附録され、鉱山の精の恩恵に関するラテン語文節を「山のこびと」("Bergmenlein")の恵みとして釈義する[注 11][35]。また、別の版本(1657年)の巻末語釈では、鉱山の魔族デーモン類の、ドイツ語での名称も明かしている[36]。これら両方の記載を繫げ合わせた引用が、グリム『ドイツ神話学』の注釈巻にみられる(具体的な内容は § アグリコラにて詳述)[39]

アグリコラにやや遅れて、ルター改革派の神学者ヨハンネス・マテシウス(英語版)は、その著書『Sarepta Oder Bergpostill(仮訳邦題:サレプタ、または山説教)』(1562年)でこの鉱山用語をふんだんに交えており、アグリコラがラテン語で「カドミア」とした悪質の鉱石は、鉱夫が「コベルト」(cobelt, kobelt)または「コバルト」(cobalt)と呼んでいたものとわかり、また、その名がついたのはドイツ人一般で「コベル」と呼ぶ悪霊のいたずらの産物だからである、と説いている。また、「コベル」は""hipomane〔ママ〕という馬毒"も引き起こすとしている[注 12][44][注 13][注 14]

アグリコラ

アグリコラは、「山のこびと」/「山霊」についての最古で、もっとも信頼のおける資料であるとされる [46]

アグリコラ『ベルマヌス、あるいは金属について』(初版1530年)など、その著述はラテン語で原則ドイツ語交じりではないが、上述したようにやや後年の版本には巻末に語釈がついており、これらはラテン語とドイツ語が対訳になっているため、アグリコラがラテン語で表現して分かりにくなっている鉱物の精の名称なども、そのドイツ名がおおよそ確実に解明できている。

グリムも引用したそれら語釈(対訳)の内容は、次の様なものである:"地下デーモンの獰猛種は「山悪魔(ベルク=トイフェル)」、温厚種は「山こびと(ベルクメンライン)」、「コベル」、「グッテル」Daemon subterraneus truculentus, berg-teiufel mitis, bergmenlein, kobel, guttel "と称す[36]、また"冶金/採鉱のデーモン "daemon metallicus こと「山こびと(ベルクメンライン)」は"豊富なる鉱脈(fundige zech)"をもたらす[47]。ここは「豊かな銀」の鉱脈を指すことが、ラテン語であきらかにされている[48]

アグリコラ『地下の生体について』によれば、コバリ(ラテン語: Cobali、単数形: コバロス Cobalos; ドイツ語形:コベル Kobel[49][32]、コバル Kobal[51])という奇怪なものたちが鉱山に出現するという。ドイツ人や一部のギリシア人がもちいる名称で、それらが人間の猿真似をすることに由来するという。やたらと笑ったりするが、なにか仕事しているようにみえて、じつは何の業績も達成しなかったりする。またの名を「山のこびと」(virunculos montanos)だとするが[注 15][53]、短身・矮躯ゆえの名前である[注 16]。彼らは老齢の容姿をしており、鉱夫のような格好をしている[注 17]、すなわち(レース編みなどの)リボン飾付シャツを着[注 18][55]、革製のエプロンを腰に巻いている[33][56]。また、鉱夫が砂利を投げつけられたりすることがあるが[注 19]、さしたる害はない。ただこちらから刺激すれば、その限りではないという[33]

上述のようにアグリコラは、「コバロス」(ドイツ語では「コベル/コバル」)という語が鉱夫のあいだで、悪戯な精霊すなわち「山のこびと」(Bergmännchen/Bergmännlein[32])を意味していたとしているが、グリムの辞書によれば、「コベル」はより一般には「悪しき精霊」を意味するとする(第二義的に、鉱夫のあいだでは「コボルト」のような意味で使う、とは認めている)[49][注 20]。なので「コバル」がドイツ語圏全体的に「鉱山の精霊」を意味するとは言えない。「コボルト」自身も、家の精(英語版)であったのが[59] 、習合が起こり、鉱山にも関係する精霊にみられるようになったといわれる[60]

アグリコラは、他の同義語として、ドイツ人が「グテリ」(ラテン語: Guteli、単数形: グテロス Gutelos; ドイツ語形:ギューテル Gütel[32])と呼ぶものも同類で、友好的だが目撃は稀有で、たいがい住処で家畜を飼うの忙しいのだと記述する[注 21][33][56]。しかしギューテルという語も、より一般的な精霊の呼称であり、鉱山に限らず、山、森、野に現れる精をさすようである[注 22][注 23][58]

グリムが述べたように、「コバロス」は「ゴブリン」の同根語であるのだが、フーバー英訳では「グテリ」のほうに「ゴブリン」を充てている[65]

さらには、スウェーデン人が「トルリス」(Trullis、すなわちトロルのラテン音写)と呼ぶものにも似るという[注 24]。すなわち、人間の男女になりすますことができ、人間に使役されることもあるという[33][56]

アンナベルクのローゼンクランツ鉱山

鉱山の魔物のしわざにされた例が、「アンネベルクの薔薇冠」鉱山でおきた12人の鉱夫死亡事件である[68]、すなわち「ローゼンクランツ」[69](ラテン形「コロナ・ロサケア」[70])という鉱山があったという、現今のアンナベルク=ブッフホルツ(英語版)の逸話である。当地はザクセン州エルツ山地(「エルツ」は「鉱石」の意[46])に位置する。そのデーモンは、馬の姿であらわれ、口から吐く息で十二名を殺戮したという[71][46][73]

悪魔学

アグリコラは、『ベルマヌス、あるいは金属について』(1530年)においても自然界の六種の悪魔について述べているが、これはパラケルススの研究者も関連資料として引いている[74]。その一部は[76]オラウス・マグヌスも転載して、「六種の悪魔が鉱山地帯にあらわれ他の種よりも悪質である」などと述べる[66][67]。オラウスは示していないが、じつはアグリコラはプセルロスを引いており[75]、そのプセルロスが提唱した悪魔の分類によれば、六種類のうち鉱山業に直接かかわりそうなのは、第五種の「地下のデーモン」のみである[77]

つまりこの(第五の)悪魔分類が、アグリコラの「コバリ」や「ゲトゥリ」(「グテリ」の誤り[注 25][注 23])に同定できるだと解説者は述べている[77][79]

また、アグリコラの観点からは、「山の悪魔」(リューベツァールが代表例)と「山のこびと」とは区別されていたのだと主張される[80]。だが民間ではリューベツァールは「グノームの君主」であると伝承される[81]。それを物語る、シレジアのリーゼン山地(現今のクルコノシェ山脈(ドイツ語版))地方から収集された民話をムゼーウスが発表している[82]

同『金属について』刊行本のの巻末語釈注では、鉱山の精はラテン語で「冶金/採鉱のデーモン」(dæmon metallicus)、ドイツ名は "Bergmenlin"であると述べられている[83]

コバルト鉱

16世紀のドイツ鉱夫のあいだでコベルト(kobelt)と呼ばれて厄介がられた鉱石だが、アグリコラも、これにカドミア(cadmia)という語が古典語が充てられる、として解説している[84][85]。このカドミア/コベルト鉱は、コバルト亜鉛鉱などとみられるが、腐食性があり鉱夫の足裏を侵すなどとされることから、腐食性の砒コバルト鉱(英語版)(コバルトと砒化ニッケルの混合鉱)の属性と一致すると指摘される[85]。また、当時の冶金技術では精練ができないやっかいな副産物とされており、例えば輝コバルト鉱(コバルト、ヒ素、硫黄)ではないかともされる[86]

このやっかいなコベルト鉱は、コベルという鉱山の魔物のせいである、とマテシウスは説法している[44]。そこから「コベルト鉱」の語源が魔物の「コベル」でありそうではあるが、マテシウスはそこまで明言していない。コベルト鉱の語源をコベル(コベロス)に導く説は、別の解説者、すなわち18世紀末の科学追求者ヨハンネス・ベックマン(英語版)の『西洋事物起原(Beiträge zur Geschichte der Erfindungen)』を引いて紹介されている[87]

コベルは、すなわち「ノーム」」(やゴブリン)の類であると、近年の英文書ではそう分類して憚らない[注 26][89]

コボルト語源説

20世紀初頭の英語辞書などでは、「コバルト」の鉱で、家霊の「コボルト」語源説を説く。

オックスフォード英語辞典』初版では、「コベルト」鉱と「コボルト」(コベルトはちがう家霊)は、しょせん同じ言葉ではないか、という語説で、「コベル」には触れていない[90]

1911年版の『ウェブスター辞典』では、コベルに触れるがコボルトと同語にみている[91]

その他語源説

コベルという鉱山の精霊と関連する語源だとするのは、かならずしも盤石な説ではなく、他の可能性も提唱される。

一説によれば、コベルト鉱というのは、現代標準ドイツ語でキューベル(Kübel)という、鉱石をいれるバケツ容器にゆらいするという説をカール・ミュラー=フラウロイトが書き残している[58]。このバケツの事は、アグリコラは modulus というラテン語を充てているが、ドイツ語の kobel に当ると語釈で示しており[92][93]、作中でも随所でこのバケツにふれている。

科学者のピーター・ウォザース(英語版) suggests that cobalt could derive (without connection to Agricola) from cobathia for noxious smoke.[88]

オラウス・マグヌス

鉱山のデーモン
―オラウス・マグヌス『北方諸民族誌』(1555年)[66][67]

スウェーデンの碩学のオラウス・マグヌス もまた、その著書『北方諸民族誌(英語版)』 (1555年)[注 27]において「鉱山のデーモン」の章をもうけている[66][67]。オラウスも「鉱山のデーモン」等と呼ぶに徹しており、「グノーム」(当時は未成語)を使うべくもない。しかしながら、その木版画の挿絵(⇒右図参照)は、「ノーム」の図像例であるとして、近年の英文参考書等に掲載されている[94][95][注 28]

民俗学

ヤーコプ・グリムは、「山のこびと」についての若干の考察を、『ドイツ神話学』の「ドワーフ(ツヴェルク)」の部でおこなっている。民話のドワーフの隠れ蓑(英語版)「ネーベルカッペ」[注 29]や古くは『ニーベルンゲンの歌』の「タルンカッペ」は、昔は体を覆うケープ/マントの認識だったものが、時代に連れキャップ/帽子のように思われるようになったと解説している。その一例が、「山のこびと」が「とんがり帽子」を被っているという、ガブリエル・ロレンハーゲン(英語版)『蛙鼠合戦』の描写である[54][55]

上例からも垣間見えるように、グリムを祖とする「ドイツ神話学派」では、「山のこびと」や「こびと」の伝説の源流を神話世界のツヴェルク(北欧のドヴェルグ)に求めているのである[97][注 30]

少し広義の話に逸れるが、グリム蒐集の伝説のうち、いわゆる「鉱山伝説」[注 31]について、1960年に論争が起こった。対象話は「山のこびと」系説話ではなかったが、グリム『ドイツ伝説集』所収第一話「クッテンベルクの3人の鉱夫」で[注 32]、鉱山に封じ込められた三人が、祈りによって長寿を永らえることができる話である[100][98]。神話学派の見解から、ジークフリート・クーベ[注 33]論文(1960年)では、古代の神話学的な山岳信仰に、職業の要素が加わったにすぎないとした[101]。 これに反論して、むしろ中世のカトリック教義の「煉獄」に着想を得た発祥だという説明をヴォルフガング・ブリュックナー(1960年)が掲げた[102]。さらにイーナ=マリーア・グレヴェルス(1962年)が、第三の見解として鉱山労働者には教会など体系的宗教とは別にして独自の世界観や信仰があるとの考えをしめした[102]

グレヴェルスの1962年論文は、「山霊」(Berggeist)を核に据えていると指摘される(「山のこびと」にはほぼ触れない)[103][104]。グリムもまた、「山霊」をツヴェルクの一種として考察するが[107]、「山霊」の意味合いは筆者によってずれがあると注意喚起される[104]ゲルハルト・ハイルフルト(ドイツ語版)とグレヴェルスの共編による『中欧ドイツ語圏の伝説伝承における鉱業と鉱夫』(1967)[104]では「山のこびと」例も多く掲載される [108]

早くは、フリードリヒ・ヴルベル[注 34](1883年)による鉱山伝説集が、一冊を4部に分けており、第2分類として「山の霊」[注 35]を置いている[109][110][111]。のちにフランツ・キルンバウアー(ドイツ語版)が編纂した『Bergmanns-Sagen』(1954年)は、ヴルヴルの4分類をほぼ踏襲するが、第2部が「山のこびと」[注 36]に置き換わっている[110][111]

カール・ミュレンホフ(ドイツ語版)の伝説集『シュレースヴィヒ、ホルシュタイン、ラウエンブルク諸公領の伝説、メルヒェン、歌謡』第3巻の構成では、第430– 452番はいちおう「家のコーボルト」の部になっているが、うち 第443番「ランツァウ伯の幸運」、第444番「ヨシアス・ランツァウの守り刀」のヨシアス・フォン・ランツァウ(ドイツ語版)にまつわる二編では、「山のこびと」[注 37]やその女性版[注 38]が登場する[112][113]

他にもヴォルファースドルフのニーダーザクセンの山霊伝説集(1968年)が出されている[114]

民話例

ザクセン州のローゼンクランツ鉱山の逸話は上掲の § アンナベルクのローゼンクランツ鉱山を参照。

スイス

スイスの民間伝承(ドイツ語版)では、グノームは鉱山の富と関連付けられている。また、事故をひきおこすともされ、1618年、旧スイスのプルールス村(現今イタリアのピウーロ)でおきた地すべりがそのせいにされている。村は金山で栄えていたが、これはグノームが融解した黄金を鉱脈(ドイツ語版)に注いでいた恩恵であった。しかし裕福さによって腐敗したため、グノームたちの怒りに触れたという[115]

大衆文化

大衆本によれば、身長12cmほどの小人で長いひげを生やした老人のような風貌をしており、派手な色の服と三角帽子を身につけている[2]。手先が器用で知性も高く、優れた細工品を作る[116]ゴブリンやドワーフ(ドヴェルグ)、ノッカーと近い関係にあるともいわれ、近年では多数存在する地中で暮らす精霊の一種族として扱われることも多い[116][2]

庭園に置かれるノームの置物は、「ガーデン・ノーム」と呼ぶ。

脚注

注釈

  1. ^ 近世の書なので綴りは標準化しない:Bergmänlein
  2. ^ Libermanは、Gnomiは複数形のみで使われるとするが、ドイツ語版ではそのように統一されるようである。ドイツ語の単数形はかなり不詳であるが、Liberman は再構形 *Gnomを充てている[7]
  3. ^ OEDに"blunder"(誤謬)とあるが"genomus"の書写で"e"を落とした、とまでは明記はされない。
  4. ^ ラテン書『Liber nymphis..』。ドイツ語版もラテン語題名を踏襲している。
  5. ^ 1スパンを9インチと定義すると、2スパンは1.5フィート。ちなみにアグリコラは3スパン(2.25フィート)とする(後述)。
  6. ^ パラケルススは、火の精霊が物云わない[17]、としている以上、フランツ・ハルトマン(英語版)(1902年)が通観で、"森の精霊は何もいわない"と記したのは、精霊の取り違いであろう[18]。森の精霊とはシルヴェストル(sylvestres)のことで、大気の精霊シルフの異名である[19][20]。ハルトマンは、パラケルススの作品の英訳者で、かの神智学協会(Theosophical Society)の分派。
  7. ^ C・S・ルイス 『The Discarded Image』(1964年刊、遺作)が地の精霊ノームを"寡黙 taciturn"だとするのも同じ間違いと言える[13]
  8. ^ -lein などの縮小詞(指小辞)のついた「小さな人」・「こびと」に相当する語彙については、馬場 (2019), pp. 25–26を参照。また"土こびと (erdmännlein, erdmanneken) やスイスではhärdmändle"をグリムの『ドイツ神話学』を引いて挙げているが[29]、-dl も高山地帯などにみえる指小辞であり、Bergmändlの衣装も存在する[30]("nn"の例もある)。
  9. ^ 『De amantibus subterraneis』ともみえるが、訂正される。
  10. ^ ただしフーバー夫妻は「山のこびと」でなく「小さな鉱夫」と訳してしまっている(『金属について』英訳、1912年、に附記した『地下の生体について』の当該箇所の訳出)[34]。夫妻はマテシウスの注(後述)でも明らかにしているように、ラテン語原典のみでなく、ドイツ訳も参照している。そしてドイツ訳の「Bergamännlein」からであれば、「山のこびと」とも「やまびと(鉱夫)」の「小さき者」とも解釈できてしまうのである。
  11. ^ ただし、鉱山の精を"daemon metallicus"と表現するので、上で説明した"virunculus montanos"を「Bergmännlein」に同定する直接の典拠にはならない。
  12. ^ ヒッポマネスは、現代獣医学では胎餅(英語版)という形成物をさすようだが、古くはウェルギリウス『ゲオルギカ』に用例があり、「狂った馬」(発情期の牝馬)からとれるとされる毒物を指したようである[40][41]
  13. ^ マテシウスは別箇所で「グッテル」改め「ギューテライン」(gütlein)についても触れている[45]
  14. ^ フーバー夫妻の英訳書でも、マテシウスを引いたうえで、16世紀のドイツ鉱夫が"cobalt"とよんだ鉱物は、"cobali"という「ものまね」(しる精霊)のいたずらと思われたから、と説いている。他にもヨハン・ベックマン(英語版)(1752年)からの引用文も参照[43]。「コバルト」の語源についてはの詳細は、 § コボルト鉱参照。
  15. ^ ラテン語 virunculos は vir "男" に縮小接尾語 -unculos, -unculusがついた語なので、「小男」「小人」になる。ドイツ語では Männlein, Männchen。
  16. ^ アグリコラの原文には"nempe nani tres dodrantes longi"とあり、1ドドランス(dodrans は"4分の3フィート"を意味するので、1スパンを9インチと定義した場合同じになる。つまりパラケルススが2スパンとするところを、こちらは3スパンという。すなわち"身長約2.25 フィートの小人"と訳せる。Hoover訳では、逐語訳でなく"about 2feet"としており「約~」とことわった換算で小数点は切り捨て。
  17. ^ metallicorum は 「鉱夫」の意。古い英訳では "metal finers"とあり、金属の精練者と解している。
  18. ^ 古い英訳では"laced petticoat"なのだが、まずvittatusはvitta "band, ribbon"から来ていて、そのような装飾がどこかについているということで、レース編みに限らない。またindusiumも"petticoat"も、上衣と下衣の両方の意味があるのだが、ここはシャツととるべきであろう。参考までに、「山のこびと」Bergmännlein が白シャツ(weissen Hemdlein)を着る例がガブリエル・ロレンハーゲン(英語版)の『蛙鼠合戦』にみえる、とグリムが指摘する[54]。フーバー英訳では"filleted garment"としているので要領を得ない。
  19. ^ glareis Jacessant.
  20. ^ グリム『神話学』もでは、コボルト kobold/kobolt の語源にギリシア語 cobalos を挙げている(ドイツ語は化け物系のことばに-oltをつけたがるとする)[57]。よってグリムは「kobel」と「kobolt/kobold」を同根語とみなしていたことになる。だが、他の語学者は否定的でコボルトは koben-/kofe-(「室の~」の意)の語根を持つとする[50][58]
  21. ^ iumentumは、牛などの家畜の意とされるので、旧英訳の"horses"には準じず Hoover訳 "cattle"を採る。
  22. ^ 語源は「神」の指小辞だとされる[58]。「コボルト」は本来、まじない的な人形がそう呼ばれていたらしいが(ツゲ彫りの家霊人形、『神話学』参照[61])、ギューテル「小さな神さま」もやはりそういう人形の呼称だったことがあり、その意味では同義とみなされる[62]
  23. ^ a b グリム『神話学』所引ヴァーツラフ・ハンカ(英語版)の古ボヘミア語彙集では、"gitulius" (getulius, gaetuliusとも) を"kobolt"で訳し、続いて"alpinus"も"tatrman"と訳しているとする。そしてアルピヌスも"alphinus"と綴ってチェス駒(「クイーン」または「フール」の駒)を指すとし、タートルマンも「糸で繰る」という用例があって(操り人形をさす)と説明する[63][64]
  24. ^ 近世北欧の「トロル」といえば、「化け物、お化け」ほどの意味で漠然としている。ルコクトゥーの事典はスウェーデンの現地名称としてgruvråを記載する[32]
  25. ^ アグリコラの表記を違えているという意味では「誤」だが、"getuli"の方がラテン語として正しいふしがある。グリムの「コボルト」解説で言及される"gitulius"参照[78]
  26. ^ 憚らない、というのはパラケルスス造語かもしれない16世紀のラベルをつかうのは、あるいは中世伝承の精霊にたいし、いわば事後承認ではないか、という懸念を振り払っておこなっている、という意味でそう表現した。
  27. ^ 原題は『Historia de Gentibus Septentrionalibus』。
  28. ^ オラウスの文面からはムンステルス(ミュンスター)というドイツ人著者を引用しているようにみえる。ムンスター(ミュンスター)とは『Cosmographia』作者であるという注釈があり[79]、すなわち地図作成者の ゼバスティアン・ミュンスターだと判明する(ミュンスターに記載があるかは不詳)。ただオラウスはアグリコラにも内容は確認できるとしており、上記で注したように、じっさい、アグリコラの内容が転載される部分が多い。
  29. ^ Nebelkappe、 "霧のケープ"。
  30. ^ 馬場 (2019)論文では、「山のこびと」については、別の神話学派論者ミュレンホフ(ドイツ語版)の伝説集の所収話に登場すると述べるのみである(p. 126)。より広義な「こびと」(männlein等)は『神話学』ではツヴェルクの婉曲的ないいまわしだとしている p. 26。しかし『ドイツ伝説集』はアグリコラの「山のエルフ」の本を「山霊」の本とみなしたことは上述した[32]。そして『神話学』によればツヴェルクは山霊(Berggeist)と同一か、その別表現とし pp. 101, 103、鉱山の精であるとし p. 125、ゲルマン神話のドヴェルグ dvergr に由来する p. 134 と内容抜粋している。
  31. ^ Bergmannssagen?.
  32. ^ 原題は"Die drei Bergleute im Kuttenberg"。「山のこびと」系説話ではなかったが、と言ったのは、原題に"Bergleute"(パルケルススがグノームの言い回しに使っていた語)があるので、そう思わせぶりだからである。しかし、内容的には普通の人間の「3人の鉱夫」に起こった超自然的な話であった。閉じ込められた坑内は異界として描かれているとされ[98]、吉田論文の題名からも「冥界」に位置づけていることがわかる[99]
  33. ^ Siegfried Kube。
  34. ^ Friedrich Wrubel。
  35. ^ Berggeist
  36. ^ Bergmännlein
  37. ^ Bergmännlein/-männchen
  38. ^ Bergfräuchen

出典

  1. ^ a b 澁澤:"地精ピグミーは別名グノーム"である[10]
  2. ^ a b c 幻想動物事典』・231頁
  3. ^ a b c d "gnome". Oxford English Dictionary (3rd ed.). Oxford University Press. September 2005. (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入。); Murray, James A. H. ed. (1901) A New Eng. Dict. on Hist. Principles IV, s.v. "gnome2"
  4. ^ Paracelsus (1658), II: 394.
  5. ^ Paracelsus (1658), II: 391.
  6. ^ [5] = loc. cit. apud OED.[3]
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  11. ^ Cf. Paracelsus & Sigerist tr. (1941), pp. 231–232
  12. ^ Paracelsus (1658), II: 392: "Gnomi humiles sunt, duas circiter spithamas æquantes"; Paracelsus (1567), p. 181: "die Gnomi sein klein bis auff zwo spannen unnd dergleichen ungeferlich"; Paracelsus & Sigerist tr. (1941), p. 235: "The mountain people are small, of about two spans".
  13. ^ a b Lewis, C. S. (2012). The Discarded Image - An Introduction to Medieval and Renaissance Literature. Cambridge University Press. p. 135. ISBN 9781107604704. https://books.google.com/books?id=ZHrXx6zYTJsC&pg=PA135 
  14. ^ Paracelsus (1658), II: 391: "Terra autem gnomis tantum chaos ist. Illi enim transeunt solidas parietes, saxa & scopulos, instar spiritus..."; Paracelsus (1567), p. 179: "also den Gnomis die erde ihr Lufft, dann ein jedes ding wonet, geht und steht im Chaos. Die Gnomi gehn durch ganze felsen, mauren, unnd was innen ihr Chaos zu gros ist..."; Paracelsus & Sigerist tr. (1941), p. 234–235: "the mountain mannikins have the earth which is their chaos. To them it is only an air"; Paracelsus & Sigerist tr. (1941), p. 232: "to the gnomi in the mountains: the earth is the air and is their chaos.. Now, the earth is not more than mere chaos to the mountain manikins. For they walk through solid walls, through rocks and stones, like a spirit;"
  15. ^ Paracelsus & Sigerist tr. (1941), p. 240: "The mountain manikins [gnomes] are endowed with speech like the nymphs [undines, water], and the vulcans[salamanders, fire] speak nothing, yet they can speak but roughly and rarely".
  16. ^ Paracelsus & Sigerist tr. (1941), p. 228。また別所でパルケルススは"山人(グノーム)はニンフ(ウンディーネ)と同様に言語を話すが、ヴルカン(火精サラマンドラ)は何も言わない、しかし喋ることはでき、稀にだがそれをする"としている[15]。四大精霊の異名は、上述のように澁澤龍彦に詳しい[10]
  17. ^ Paracelsus & Sigerist tr. (1941), p. 240.
  18. ^ Hartmann (1902), p. 156: "spirits of the woods" as saying nothing".
  19. ^ Hartmann (1902), pp. 54, 152–153.
  20. ^ Paracelsus & Sigerist tr. (1941), p. 231.
  21. ^ Paracelsus & Sigerist tr. (1941)、訳者序文 p. 221、原作英訳 p. 248: "The giants come from the forest people and the dwarfs from the earth manikins. They are monstra like the sirens from the nymphs. Thus these beings are born".
  22. ^ Paracelsus (1567), p. 195: "Die Riesen kommen von den Waltleuten, die zwerglein von den Erdleuten, unnd sein monstra von ihnen wie die Syrenen von den Nymphen, von solche dingen werden wol selten geborn".
  23. ^ Handwörterbuch des Deutschen Aberglaubens, Walter de Gruyter (1974), s.v. "Paracelsus", pp. 13951398.
  24. ^ 英訳"monster[s]"[21]。新英訳やドイツ語版ではその語だけラテン語の"monstra"が使われている[22]。しかし文中の"monsters/monstra"は「怪物」ではなく「奇形」の意。現代ドイツ語参考書に拠るパラケルススの解説ではドイツ語: Mißgeburtenという言葉を使っており[23]、これは「奇形」や、転じて「できそこない、失敗作」の意となどと独和辞典にみえる。
  25. ^ e.g. Paracelsus (1567), p. 181 "Bergmänlein",
  26. ^ 英訳 "mountain people" "mountain manikins" については Paracelsus & Sigerist tr. (1941), passim. 参照。
  27. ^ Wolfersdorf (1968), pp. 170, 199.
  28. ^ Wolfersdorf (1968), pp. 210, 211.
  29. ^ 馬場 (2019), p. 44.
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  35. ^ a b Agricola (1546), p. 478。同書のタイトルページでは所収内容を列記して、ドイツ語での語釈の部を"Interpretatio Germanica uocum rei metallicæ.."としているが、じっさい、その部の冒頭に掲げられた題は "Sequuntur rerum, de quibus scribimus, nomina, quae ipsis posuerunt Germani, nec tamen nomina prosuerunt omnibus rebus, quibus uel abundant, uel non carent"である。
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  39. ^ アグリコラ『金属について』第12巻、グリム所引[37]。またルドヴィコ・マリア・シニストラリ(1876)『[[:en]De Daemonialitate et Incubis et Succubis|De la démonalite et des animaux incubes et succubes|]]』によるフランス語の梗概も参照[38]
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  41. ^ 南方熊楠十二支考』、第 2 巻、1973年、120頁
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  44. ^ a b ヨハンネス・マテシウス(英語版)(1652年)、フーバー夫妻の英訳による引用[42]、およびウォザースによる抜粋[43]を参照。
  45. ^ Göpfert, Ernst (1902). Die Bergmannssprache in der Sarepta des Johann Mathesius. Starßburg: Trübner. p. 41. https://books.google.com/books?id=WSxUAAAAcAAJ&pg=PA41 
  46. ^ a b c d e Wolfersdorf (1968), p. 40.
  47. ^ Grimm & Stallybrass tr. (1888), p. 1414.
  48. ^ ラテン語: quantumvis argento fœcundam(大量の豊潤な銀)[35]
  49. ^ a b Grimm, Deutsches Wörterbuch, Band 5, s.v. "Kobel"
  50. ^ a b c Kretschmer, Paul (1928). “Weiteres zur Urgeschichte der Inder”. eitschrift für vergleichende Sprachforschung auf dem Gebiete der indogermanischen Sprachen 55: p. 89 and p. 87, n2. https://books.google.com/books?id=zYpVkrS47n8C&pg=PA87. 
  51. ^ ドイツ語にはKobalen(おそらく-en は定冠詞的な接尾語)の表記も見られ、これは山の洞窟のデーモンを指し、ラテン語の「コバリ」 Cobali に相当する;それはまた 「山のこびと」virunculi montani(アグリコラも使ういいまわし)、「山霊」(Berggeister)、「グノーム」Gnome、コボルト Kobold などとの同類である、と言語学者のパウル・クレッチマーは説明している[50]
  52. ^ Drake, Nathan (1817). Shakespeare and His Times: Including the Biography of the Poet; Criticism on His Genius and Writings; a New Chronology of His Plays; a Disquisition on the Object of His Sonnets; and a History of the Manners, Customs, Amusement, Superstitions, Poetry, and Elegant Literature of His Age. 2. London: T. Cadell and W. Davies. p. 131. https://books.google.com/books?id=XgT4X1RDf4gC&pg=PA311 
  53. ^ ドイツ語「Bergmänlin」=「Bergmanlein」をアタナシウス・キルヒャーは充てている。Mundus Subterraneus, Lib. VIII, sect. 4, cap. 4, p. 123.[52]
  54. ^ a b Grimm (1883), p. 462, n2.
  55. ^ a b ロレンハーゲンの刊行本では[96]、"Bergmännlein"の語は索引には使われるが、詩文そのものでは"Männlein"になっている:"Funden sich auf dem Berg beysammen Der kleiner Männlein ohne Nahmen,/ In weissen Hemdlein, spitzgen Kappen,/ Als man gewohnt an den Bergknappen".
  56. ^ a b c Lavater, Ludwig (1596). Of ghostes and spirites walking by nyght, and of strange noyses, crackes, and sundry forewarnynges, which commonly happen before the death of menne, great slaughters, and alterations of kyngdomes. 2. Translated by Robert Harrison. London: Thomas Creede. p. 75. https://books.google.com/books?id=smNjAAAAcAAJ&pg=PA75 
  57. ^ a b Grimm (1883), pp. 500–502.
  58. ^ a b c d e Müller-Fraureuth, Karl (1906). “Kap. 14”. Sächsische Volkswörter: Beiträge zur mundartlichen Volkskunde. Dresden: Wilhelm Baensch. pp. 25–25. https://books.google.com/books?id=EFdsAAAAIAAJ&pg=PA26 
  59. ^ グリム『神話学』もコボルトを"悪戯な家の精"と位置付けている[57]
  60. ^ そのコボルト kobold 語源は Kob[en] "室" + walt "制者、統治者"からなりたち、本来は「家の精」(ハウスガイスト)だったが、のちに山のデーモンやグノームの観念との習合がおこったという[58][50]
  61. ^ Grimm (1883), p. 501.
  62. ^ Handwörterbuch des Deutschen Aberglaubens, Walter de Gruyter (1974), s.v. "Kobold", p. 31
  63. ^ Hanka (1833). Zbjrka neydáwněgšjch Slownjků Latinsko-Českých [Vetustissima Vocabularia Latino-Boemica]. s.v. "Gitulius kobolt, p. 79
  64. ^ Grimm (1875), p. 416; Grimm (1883), pp. 502–503
  65. ^ フーバー大統領夫妻によるアグリコラの英訳『ベルマヌスあるいは金属について』の脚注に付された『地下の生体について』の部分訳[34]。Wothersが再掲[43]
  66. ^ a b c d Olaus Magnus (1555). “Liber VI. Cap. X. De Metallicis Dæmonibus”. Historia de gentibus septentrionalibus. Rome: Giovanni M. Viotto. pp. 210–211. https://books.google.com/books?id=O9lEAAAAcAAJ&pg=PA210 
  67. ^ a b c d Olaus Magnus (2017). “Book 6, Ch. 10 On demons in the mines”. Historia de Gentibus Septentrionalibus: Romæ 1555 [Description of the Northern Peoples : Rome 1555]. II. Translated by Foote, Peter and Humphrey Higgins. Routledge. pp. 299–300. ISBN 9781351555975. https://books.google.com/books?id=WmZQDwAAQBAJ&pg=PA299  
  68. ^ 後述のオラウス・マグヌスも転載している[66][67]
  69. ^ "ドイツ語: Rosenkrantz".[46]
  70. ^ Corona Rosacea.[33][43]
  71. ^ ドイツ語: Anhauch;[46] アグリコラの原文:ラテン語: "Flatum vero emittebat ex rictu"[33]。フーバー夫妻訳では割愛されており、ウォザースは引用でなく独自訳で一行ばかり"only with his breath killed more than twelve laborourers"と述べ、悪魔は口から毒ガスを吐く馬の姿であらわれたようである、と解説[43]
  72. ^ Calmet, Augustin (1850). The Phantom World: The History and Philosophy of Spirits, Apparitions, &c., &c. 2. Translated by Henry Christmas. Philadelphia: A. Hart. p. 140. https://books.google.com/books?id=Z1GqcY9ow3QC&pg=PA140 
  73. ^ カルメの著書の英訳では "spirit in the shape of a spirited, snorting horse"とあるが、典拠をアグリコラの異なる題名作『de Mineral. Subterran』, p. 504だとしている[72]
  74. ^ Paracelsus (2013). Koelsch, Franz. ed. Von der Bergsucht und anderen Bergkrankheiten. Springer-Verlag. pp. 61–62. ISBN 9783642991486. https://books.google.com/books?id=bnTRBgAAQBAJ&pg=PA61 
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  76. ^ ここでも「ローゼンクランツ」 "Corona rosacea"鉱山について言及しており、その後のくだりで: "Eius generis demonum, quod in metallis esse solet, inter reliqua, sex (6) enim numerat, Psellus mentionem fecit,.. cæteris peius" (デーモンの..他よりも悪い、)とみえる[75]
  77. ^ a b Hibbert, Samuel (1825). Sketches of the Philosophy of Apparitions: Or, An Attempt to Trace Such Illusions to Their Physical Causes (2 ed.). Edinburgh: Oliver & Boyd. p. 140. https://books.google.com/books?id=bNYRAAAAYAAJ&pg=PA188 
  78. ^ Grimm (1883), p. 502.
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  83. ^ Agricola (1546), p. 77.
  84. ^ Agricola (1546), p. 467: "Hoc genus metallici cobaltum, liceat mihi nunc nostris uti, vocant: Græci cadmiam"; p. 473 Cadmia metallica = Kobelt.
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  86. ^ Wothers (2019).
  87. ^ ベックマンの著作の英訳『English as the History of Inventions, discoveries and origins』(1797年)[43]
  88. ^ a b Wothers (2019), p. 47.
  89. ^ たとえば科学ライタ―のフィリップ・ボール(英語版)はその色素の科学史で書いており、ウォザース([[:en:Peter Wothers]|]])の科学史のコバルト語源は「ノームとゴブリン」の節に置いている[88]
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  92. ^ Agricola (1546), p. 481: ラテン語: Modulus = ドイツ語: Kobel
  93. ^ グリム辞典の各項も参照:Grimm, Deutsches Wörterbuch, Band 5, s.v. "Kobel", as well as "Köbel" and "Kübel"
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  97. ^ 馬場 (2019)の論文参照。一般論として"神話学派は確かに師グリムのジャンル理論を継承し" p. 71、「ドイツ神話学」とは読んで名の通り"神話の痕跡を探"しのアプローチである、p. 72。
  98. ^ a b 植朗子「ドイツ民間伝説における死者の帰還 : 「不気味」という概念と伝承の事実性」『文芸学研究』第19号、大阪大学、2015年3月31日、34–35頁、doi:10.18910/70068、hdl:11094/70068 
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  • Paracelsus (1658). “Liber [philos. de nymphis sylphis pygmæis et salamandris”]. Opera omnia medico-chemico-chirurgica. Geneva: Antonius et Tournes. pp. 388–. https://books.google.com/books?id=nbhUAAAAcAAJ&pg=PA394 
  • Paracelsus (1996). “IV. A Book on Nymphs, Sylphs, Pygmies, and Salamanders, and on the Other Spirits”. Four Treatises of Theophrastus Von Hohenheim Called Paracelsus. Translated by Henry Sigerist. Johns Hopkins University Press. p. 213–255. ISBN 9780801855238. https://books.google.com/books?id=YIKLKqwsEc0C&pg=PA242 
  • Wolfersdorf, Peter (1968). Die niedersächsischen Berggeistsagen. Schriften zur niederdeutschen Volkskunde 2. Schwartz. p. 213–255. ISBN 9783509002850. https://books.google.com/books?id=Vj3hAAAAMAAJq=gnome 

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