ジャージー・デビル (X-ファイルのエピソード)

ジャージー・デビル
X-ファイル』のエピソード
話数シーズン1
第5話
監督ジョー・ナポリターノ
脚本クリス・カーター
作品番号1X04
初放送日1993年10月8日
エピソード前次回
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「導管」
次回 →
「影」
X-ファイル シーズン1
X-ファイルのエピソード一覧

ジャージー・デビル」(原題:The Jersey Devil)は『X-ファイル』のシーズン1第5話で、1993年10月8日にFOXが初めて放送した。

スタッフ

  • 監督:ジョー・ナポリターノ
  • 脚本:クリス・カーター

キャスト

レギュラー

ゲスト

内容

1947年ニュージャージー州にて、森の近くの道路でパンクしたタイヤを修理していた男性が何者かに襲撃される。後日、捜索隊が組まれその男性の死体が発見されたが、彼の足は食いちぎられていた。そして彼の死体の近くで毛深い全裸の大男が発見され捜索隊に射殺される。

ここで、舞台は現代(1993年)に戻る。モルダーはスカリーからニュージャージー州で腕のない死体が発見されたことを聞き、捜査に赴く。2人はアトランティックシティの霊安室で死体を調べようとするが、地元警察のトンプソン刑事に捜査への介入を拒まれる。

モルダーがニュージャージーで捜査を続ける一方、スカリーは名付け子の誕生日会に出席するためにワシントンに戻る。パーティー会場でスカリーは名付け子の父親ロブに会う。その頃、モルダーはホームレスたちから事件に関する情報を得ようと聞き込みをしていた。モルダーは事件を目撃したと言うホームレスに自分の宿泊するホテルのルームキーを渡し、モルダー自身がホームレスの寝床で張り込みをする。モルダーは張り込み中に人間と思しき影を目撃するも、巡回中の警察官にホームレスと間違われて身柄を拘束されてしまう。

翌朝、スカリーは警察を訪れてモルダーを引き取り、2人はそこでトンプソン刑事に再会する。ロブとのデートへ行く前に、スカリーはメリーランド大学カレッジパーク校で教授を務める人類学者のダイアモンド博士をモルダーに紹介する。

モルダーは公園のレンジャーから野生人の死体を見つけたとの連絡を受ける。モルダーはその野生人の妻が食料を求めてアトランティックシティ内に侵入しているのではないかと推測する。モルダー、スカリー、ダイアモンド博士の3人は廃ビルで獣人の捜索を行った。時を同じくして、トンプソン刑事もSWAT隊を引き連れて獣人の捜索を開始した。

捜索中にモルダーは獣人から襲撃を受ける。獣人は森へ逃げたが、公園のレンジャーに吹き矢で撃たれて動けなり、さらに駆け付けたSWATによって射殺される。モルダーはトンプソン刑事になぜ獣人を殺したのかと抗議したが、刑事は人々を守るためには凶暴な生物を殺さざるを得ないと答えるだけだった。獣人を解剖した結果、消化管から人骨こそ見つかったものの、その骨格は現代人と同じものであった。

その後、モルダーはスミソニアン博物館の民族生物学の研究者に話を聞きに行き、スカリーはロブとの2回目のデートを断る。

ニュージャージーのとある森の中、子供の獣人が好奇に満ちた目でハイキング中の親子連れを見つめる[1][2]

製作

本エピソードの脚本を執筆したクリス・カーターは典型的なビッグフットのような未確認生物を題材とするよりも、ミッシング・リンクとしてのジャージー・デビルを題材とすることを決めた[3]。その際、カーターはエドワード・オズボーン・ウィルソンアリに関する論考や、人間が絶滅に向かって突き進んでいるという主張から多くのものを得た[4]。当初の「肉食種の獣人が人間を食べる」という設定は掘り下げられ、「突然変異によってネアンデルタール人にまで退化してしまった人間」という設定になった[4]。ジャージー・デビルの衣装には、グレッグ・キャノムが別のプロジェクトのために狼男の衣装として制作したものが再利用された[5]

スカリーがロブとデートするシーンは視聴者にスカリーがどのような生活を送っているのかを示し、スカリーという人間をより深く知ってもらうためのシーンである[3]。モルダーがアトランティックシティで捜査を行うシーンはバンクーバーでクロマキーの手法を用いて撮影された。ポスト・プロダクションにおいて、そのシーンにカジノの背景が合成された。

クレア・スタンスフィールドが演じるジャージー・デビルは全裸で動き回っているという設定のため、撮影時には肌色一色のスーツを着用したり、長い髪で乳首を隠したりするなどの工夫がなされた。廃ビルでの捜索シーンはバンクーバー市内の雑居ビルで撮影された。また、森のシーンは大型トラックでしか入れないような場所で撮影された[6]

評価

1993年10月8日、FOXは本エピソードをはじめてアメリカで放映し、1040万人の視聴者(620万世帯)を獲得した[7][8]

エンターテインメント・ウィークリー』は本エピソードにC評価を下し、「陳腐なエピソードだ。むやみやたらに哲学的でもある。ただ、スカリーのプライベートに焦点を当てたことはその後のシリーズの展開にとって重要な意味を持つ。」と述べている[9]。『A.V.クラブ』のキース・フィップスも本エピソードのC評価を下し、「スカリーのプライベートを描き出したシーンとモルダーがホームレスたちと話すシーンは効果的なシーンだ。しかし、エピソード全体はかなり馬鹿げたものになっている。いいアイディアではあったが獣人が死ぬ結末がひどい。」と述べている[10]

『X-ファイル』の製作総指揮を務めるジェームズ・ウォンも本エピソードに批判的で、「流れの中心から外れたエピソードだ。複雑さに欠ける。ただ、画面は美しい。」としている[4]

後世への影響

クロアチアの音楽家ダルコ・ルンデクはこのエピソードにインスパイアされて『Makedo』という曲を作った。

参考文献

  • Edwards, Ted (1996). X-Files Confidential. Little, Brown and Company. ISBN 0-316-21808-1 
  • Gradnitzer, Louisa; Pittson, Todd (1999). X Marks the Spot: On Location with The X-Files. Arsenal Pulp Press. ISBN 1-55152-066-4 
  • Hurwitz, Matt; Knowles, Chris (2008). The Complete X-Files. Insight Editions. ISBN 1-933784-80-6 
  • Lovece, Frank (1996). The X-Files Declassified. Citadel Press. ISBN 0-8065-1745-X 
  • Lowry, Brian (1995). The Truth is Out There: The Official Guide to the X-Files. Harper Prism. ISBN 0-06-105330-9 

出典

  1. ^ Lowry, pp.109–110
  2. ^ Lovece, pp55–56
  3. ^ a b Lowry, p.110
  4. ^ a b c Edwards, p.44
  5. ^ Clarke, Frederick S. (1998). Cinefantastique. F. S. Clarke. Retrieved July 25, 2011.
  6. ^ Gradnitzer; Pittson, pp.35–36
  7. ^ Lowry, p.248
  8. ^ http://anythingkiss.com/pi_feedback_challenge/Ratings/19930920-19931128_TVRatings.pdf#page=6[リンク切れ]
  9. ^ “The Ultimate Episode Guide, Season I”. 2015年9月12日閲覧。
  10. ^ “The X-Files: “Conduit” / “The Jersey Devil” / “Shadows””. 2015年9月12日閲覧。

外部リンク

シーズン
シーズン1
  • "序章"
  • "ディープ・スロート"
  • "スクィーズ"
  • "導管"
  • "ジャージー・デビル"
  • "影"
  • "機械の中のゴースト"
  • "氷"
  • "宇宙"
  • "堕ちた天使"
  • "イヴ"
  • "炎"
  • "海の彼方に"
  • "性を曲げるもの"
  • "ラザロ"
  • "再生"
  • "E.B.E"
  • "奇跡の人"
  • "変形"
  • "闇"
  • "続 スクィーズ"
  • "輪廻"
  • "ローランド"
  • "三角フラスコ<終章>"
  • シーズン2
    シーズン3
    • "祈り"
    • "ペーパークリップ"
    • "D.P.O.(英語版)"
    • "休息(英語版)"
    • "名簿(英語版)"
    • "胃液(英語版)"
    • "歩兵(英語版)"
    • "土牢(英語版)"
    • "二世"
    • "731"
    • "黙示(英語版)"
    • "害虫(英語版)"
    • "(英語版)"
    • "グロテスク(英語版)"
    • "海底"
    • "アポクリファ"
    • "プッシャー(英語版)"
    • "骨董(英語版)"
    • "賭博(英語版)"
    • "執筆(英語版)"
    • "化身(英語版)"
    • "ビッグ・ブルー(英語版)"
    • "電波(英語版)"
    • "タリサ・クミ"
    シーズン4
    • "支配者"
    • "ホーム"
    • "メラニン(英語版)"
    • "アンルーヘ(英語版)"
    • "追憶(英語版)"
    • "整形(英語版)"
    • "紫煙"
    • "ツングースカ Part.1"
    • "ツングースカ Part.2"
    • "ペーパー・ハート(英語版)"
    • "カビ(英語版)"
    • "腫瘍(英語版)"
    • "タトゥー(英語版)"
    • "メメント・モリ"
    • "魂のない肉体(英語版)"
    • "P.O.W(英語版)"
    • "MAX Part.1"
    • "MAX Part.2"
    • "凍結(英語版)"
    • "スモール・ポテト(英語版)"
    • "ゼロ・サム"
    • "哀歌(英語版)"
    • "フラッシュバック(英語版)"
    • "ゲッセマネ"
    シーズン5
    • "帰還 Part.1/Part.2"
    • "アンユージュアルサスペクツ"
    • "迂回"
    • "プロメテウス(英語版)"
    • "クリスマス・キャロル"
    • "エミリー"
    • "狐狩り(英語版)"
    • "分裂(英語版)"
    • "ドール(英語版)"
    • "キル スウィッチ(英語版)"
    • "吸血(英語版)"
    • "ペイシェントX(英語版)"
    • "赤と黒(英語版)"
    • "旅人(英語版)"
    • "マインド・アイ(英語版)"
    • "万霊節(英語版)"
    • "アンダーカバー(英語版)"
    • "幻妖(英語版)"
    • "ジ・エンド(英語版)"
    シーズン6
    • "ビギニング(英語版)"
    • "迷走(英語版)"
    • "トライアングル(英語版)"
    • "ドリームランド Part.1/Part.2(英語版)"
    • "クリスマス・イブの過ごし方(英語版)"
    • "愛児(英語版)"
    • "レイン・キング(英語版)"
    • "S.R.819(英語版)"
    • "ティトノス(英語版)"
    • "ファイト・ザ・フューチャー Part.1(英語版)"
    • "ファイト・ザ・フューチャー Part.2(英語版)"
    • "アグア・マラ(英語版)"
    • "月曜の朝(英語版)"
    • "スイート・ホーム(英語版)"
    • "絶滅種(英語版)"
    • "電界(英語版)"
    • "ミラグロ(英語版)"
    • "アンナチュラル(英語版)"
    • "荒野の三人(英語版)"
    • "トリップ(英語版)"
    • "創世記(英語版)"
    シーズン7
    • "第六の絶滅 Part.1(英語版)"
    • "第六の絶滅 Part.2(英語版)"
    • "ハングリー(英語版)"
    • "ミレニアム(英語版)"
    • "ラッシュ(英語版)"
    • "ゴールドバーグ(英語版)"
    • "オリソン(英語版)"
    • "偉大なるマリーニ(英語版)"
    • "神のお告げ(英語版)"
    • "存在と時間 Part.1(英語版)"
    • "存在と時間 Part.2(英語版)"
    • "X-コップス(英語版)"
    • "ファースト・パーソン・シューター(英語版)"
    • "呪い(英語版)"
    • "(英語版)"
    • "キメーラ(英語版)"
    • "宿縁(英語版)"
    • "ブランドX(英語版)"
    • "ハリウッドA.D.(英語版)"
    • "ファイトクラブ(英語版)"
    • "三つの願い(英語版)"
    • "レクイエム(英語版)"
    シーズン8
    • "サーチ・フォー・モルダー Part.1(英語版)"
    • "サーチ・フォー・モルダー Part.2(英語版)"
    • "爪痕(英語版)"
    • "ロードランナー(英語版)"
    • "冥界の死者(英語版)"
    • "レッドラム(英語版)"
    • "第三の目(英語版)"
    • "透視(英語版)"
    • "救済(英語版)"
    • "バドラ(英語版)"
    • "ギフト(英語版)"
    • "メデューサ(英語版)"
    • "受胎(英語版)"
    • "デッドアライブ Part.1(英語版)"
    • "デッドアライブ Part.2(英語版)"
    • "パスワード(英語版)"
    • "秘密(英語版)
    • "到来(英語版)"
    • "孤立(英語版)"
    • "誕生 Part.1(英語版)"
    • "誕生 Part.2(英語版)"
    シーズン9
    • "リターン・トゥ・ウォーター Part1/Part2(英語版)"
    • "ダイモニカス(英語版)"
    • "4-D(英語版)"
    • "蠅の王(英語版)"
    • "トラスト・ノー・ワン(英語版)"
    • "ジョン・ドー(英語版)"
    • "境界(英語版)"
    • "神託 Part.1(英語版)"
    • "神託 Part.2(英語版)"
    • "オードリー(英語版)"
    • "化体(英語版)"
    • "数秘術"
    • "モンスター(英語版)"
    • "英雄に捧ぐ(英語版)"
    • "ウィリアム(英語版)"
    • "解放(英語版)"
    • "サンシャイン・デイズ(英語版)"
    • "真実 Part1/Part2(英語版)"
    シーズン10
    • "闘争 Part.1(英語版)"
    • "変異(英語版)"
    • "トカゲ男の憂鬱(英語版)"
    • "バンドエイド・ノーズ・マン(英語版)"
    • "バビロン(英語版)"
    • "闘争 Part.2(英語版)"
    シーズン11
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